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防衛省への申し入れ書

2015年8月20


防衛大臣 中谷元 様


申入書


全日本学生自治会総連合(委員長:齋藤 郁真)


 

 7月22日、朝日新聞に「防衛省、大学向け研究費」という見出しの記事が掲載されました。記事によれば、安全保障に役立つ技術を開発するため、大学などの研究者に直接研究費を支給すること、その額は一件あたり最大で年3000万と、文部科学省科学研究費補助金の年200万~300万に比べて約10倍という高額であることが取り上げられています。この企画「安全保障技術研究推進制度」を担っている防衛技術研究所のHPによれば、すでに公募は締め切られ、10月~11月にかけて具体的に研究が開始されていく旨が公表されています。


 防衛省と大学などとの共同研究は第二次安倍政権成立以降に加速度的に増え、技術交流も2012年に2件、13年に3件、14年に7件と明らかに急増しています。安倍政権は昨年1217日、国家安全保障会議で「平成26年度以降にかかる防衛計画の大綱について」を閣議決定し、そのV-7「研究開発」に「産官学の力を結集させて、安全保障分野においても有効に活用し得るよう…大学や研究機関との連携の充実等により、防衛にも応用可能な民生技術(デュアルユース技術)の積極的な活用に努める」と明記しました。今年10月に発足する予定となっている「防衛装備庁」は、陸海空自衛隊すべての装備の管理・開発・輸出を一元的に管理し、上述の防衛技術研究所も統合して、戦後最大といわれる今年度防衛費の約3分の1にあたる1・6兆円もの巨額の予算を組まれています。


 この「防衛装備庁」設立の法的根拠は6月10日に改正された「防衛省設置法」ですが、そこではいわゆる「文官統制」規定が削除されました。このことも合わせて考えたとき、明白に、戦前・戦中のような大学・学問の戦争動員・武器輸出への協力が国家的プロジェクトとして進められているといわざるをえません。


 


 2000年以降、「行政改革」の一環として「教育改革」が叫ばれ、「産官学連携」が政府によって推進されてきました。その画期たる「国立大学独立法人制度」は大学への運営費交付金削減と一体の「競争的資金制度」などを通じて、大学運営自体の窮乏と共に学問の商業化・産業化を促進してきました。大学と「原子力ムラ」の関わりにも象徴されるように、それはますます一大社会問題となっています。防衛省と大学との共同研究は、まさしくこの状況を土台にし、文科省研究費補助金の10倍の額の研究費支給によって「カネに糸目をつけず」研究者を買収しようとするもの、そして「軍事研究の自由」を大学につくりあげようとするものです。


 また、昨年5月、文科省の有識者会議「学生の経済的支援の在り方に関する検討会」において日本学生支援機構政策企画委員・前原金一氏が奨学金返済を滞納している貧困層向けに「防衛省などに頼み、一年か二年かインターンシップをやってもらえば就職は良くなる。防衛省はやってもいいと言っている」と発言し、「経済的徴兵制」導入へ向けた発言として批判の的となりました。彼の発言からもわかるように、この動きには防衛省も明白に関係しています。


 さらに、今年6月、文科省が所管するすべての大学に対し、人文社会系・教員養成系学部の廃止ないし社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むことを要請しました。日本大学に新たに設置された「危機管理学部」は「グローバル・セキュリティを担う人材の養成」を掲げ、その教員には警察OBや元防衛官僚が抜擢されています。これは戦中、法政大学に設立され「新東亜建設、大陸経営にあたる人材養成」を掲げた「大陸学部」と本質的に同じものではないでしょうか。


 


 大学の軍事研究問題は、それ単体で捉えるべきものではなく、今の大学の商業主義・民営化問題、ひいては「ブラック企業」や「過労死」が取りざたされる社会全体のあり方と一体です。


 安倍政権が戦後70年にあたって閣議決定した「安倍談話」は、日露戦争の礼賛に始まり、「積極的平和主義」の強調に終わっています。太平洋戦争は昭和天皇の『開戦の詔勅』にあるように「東亜安定ニ関する帝國積年ノ努力ハ悉く水泡ニ帰シ帝國ノ存立亦正ニ危殆ニ瀬セリ」「今ヤ自存自衛ノ為」として、日露戦争で獲得し、支配・拡大した東アジア利権の「自衛」を掲げた、つまり侵略を維持・拡大するための戦争でした。今、安倍政権が安保関連法案を強行採決し、「平和」を掲げて大学・教員をはじめ全社会を動員する戦争準備を進めようとしていることを私たちは絶対に許しません。多くの自衛隊員はそもそもは私たち労働者や学生・市民の友人であり、家族である人々です。つくりだされた貧困・国家対立のために彼らの命が散っていくことを看過することはできません。またもや一部の人間たちの利権のために、民衆同士が銃を向け合い、殺し合い、長年にわたる差別・分断を抱え込まなければならないことを二度と繰り返させるわけにはいきません。


 


 私たち全学連は1948年、「戦犯教授追放」「学生生活防衛」を掲げた全国大学ストライキの中で誕生しました。2000年以降の「教育改革」の中で「抵抗勢力」たる自治会・自治寮の多くがつぶされ、サークル活動など学生生活への規制も日々激しくなってきた中、私たち全学連は法政大学を中心にして「教育の民営化粉砕」を掲げて闘いつづけてきました。2006年以来、のべ126名の逮捕、13名もの学生の停学・退学処分を受けながら続いてきた法政大学の苦闘は今、全国の大学で「学生自治会再建運動」へとつながり、花開こうとしています。昨年11月、京都大学での「公安警察摘発・追放事件」はその象徴です。


 この国の政府がこれからも戦争政治を続け、軍拡や大学の戦争動員を続けるのであれば、私たち全学連は再び、全国大学規模の反戦ストライキの実現で応える決意です。すでに政権打倒のゼネラルストライキに立ち上がっている韓国の労働者や、中国、東アジアで戦争に反対して闘う人々とも連帯し、学生の総力をもって戦争政治に反撃します。


 


 以下、申し入れます。


一、「安全保障技術研究推進制度」など大学・研究機関との共同研究の中止


一、武器輸出の禁止


一、「経済的徴兵制」に関する一切の政策に関わらないこと


 

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